下水道末端部光ファイバー布設法に関する性能調査業務について
1. 目的
21世紀の経済社会システムの発展を図るため、高度情報基盤を整備することは重要な課題である。なかでも各戸に光ファイバーを布設するFTTHは、大きな未来があるものと期待されている。しかしながら、これを実現するためには加入者系アクセスラインの整備がネックになっている。下水道は管きょによって各戸に通じる地下空間を有しており、この管きょを利用することは、FTTH実現の有力な選択肢のひとつである。
下水道管きょに光ファイバーを布設し、各戸までのFTTHを実現する工法については、様々な技術提案がなされているところである。今、これらの技術提案について、地方公共団体、通信事業者等の要請に適うものであるかを、公的機関が早急に検証することは下水道光ファイバー事業の推進を図るために喫緊の取組であると考える。
従って、(一社)日本下水道光ファイバー技術協会(以下、協会という)では、下水道末端部分への光ファイバーケーブル布設工法に関して、性能調査業務委託依頼を広く募集し、技術検証を早急に実施することにより、下水道光ファイバー関連技術の確立、事業展開の促進を図ることとした。
2. 性能調査業務の実施方法
次項以降に特記する以外は、協会の「光ファイバー技術・性能調査要領」に基づいて実施する。
3. 性能調査対象技術
下水道末端管きょを利用してFTTHを実現するため、マンホール間の幹線光ファイバーケーブル、マンホール~公共桝間の引込線光ファイバーケーブルの布設について、以下の内容を含む資・機材、工法を性能調査の対象とする。
- 本管部における、複数ケーブル(幹線ケーブル、引込線ケーブル他)の布設・固定方法
- 引込線ケーブルの分離取出し・防護収納方法
- 取付管部(本管との分岐部を含めて)における、引込線ケーブルの布設・固定方法
- 引込線追加、障害発生時の対応方法
4. 主要調査内容
- 経済的に布設可能であること
- 施工が容易に出来ること(施工時間、近隣への影響等を含めて)
- 下水道管きょ空間において、光ファイバーケーブルが長期間にわたって伝送特性を維持出来ること
- 下水の流下、維持管理作業に支障を与えないこと
5. 性能調査依頼者について
- 単独団体による依頼でも、複数団体の連合による依頼でも可
- 少なくとも1団体は、公共下水道の暗きょに電線等を設ける場合の規定である下水道法第二十四条3の例外規定および同法施行令第十七条の二に該当する者であること。ただし、本規定に拘わらず第6項に記載の現地実証試験場所を確保出来る場合はこの限りではない
6. 現地実証試験
- 下水道管きょ空間が特殊環境であること、実施例が少ないこと他を考慮して、全依頼案件について現場実証試験を実施する
- 現場実証試験は、下水道供用区域において、依頼者が適当なルートを見付けて、借用手続きを経た上で実施する
- 実証試験モデルを図-1に示すが、供試区域の状況に応じて布設する必要がある
- 試験終了後、全ての資材を撤去することを原則とする
- 現地実証試験実施において、事故・下水道機能への障害他が発生した場合は、依頼者の責任で適切に対応すること
(注) 図中の数値は、歩掛算出用の参考として示している
7. スケジュール
依頼者との協議の上、決定する。